第194章 柏原藍子、もういい加減にしろ

「入りなさい」福田祐衣は顔も上げずに言った。

ドアが静かに開き、受付の声が遠慮がちに響いた。「福田社長、柏原藍子様がお見えです。面会をご希望とのことですが」

点字をなぞっていた福田祐衣の指先が、ぴたりと止まる。

一拍置いて、彼女は薄い唇を引き結び、抑揚のない声で答えた。「通して」

数分後、再びドアが開く。

「祐衣……」

柏原藍子の足音は意図的に忍ばせたように軽く、そこには媚びへつらうような慎重さが滲んでいた。

彼女はデスクの前まで歩み寄ると、顔に淑やかな笑みを張り付けた。「祐衣、久しぶりね。お母さん、ずっとあなたのことを案じていたのよ」

「あら、また痩せたんじゃない? 仕事が...

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